東日本大震災 希望

退院してからの初めての供養、衣は着られるのか?お袈裟は掛けられるか?
痛みをこらえて、ボロボロになった本堂へ、カネはたたけるか左だし。
それでも、体ごと前に踏ん張り打てるもんだ〜檀家さんも全然気づいてないし。
毎日必死の思いで、カネをたたく自分が居た。

そんな中、檀家さんより「住職、本堂なんとかしないとね〜」と言う声がだんだんと。
しかし資金もない、檀家も多いわけではない。困った・・・・・
業者も来て、見積もりを取らせると、本堂を1度吊って、壁から屋根からやり直し、それでも危険度は半分程度で、今後地震が来ても保証が出来ない。
金額も・・・・・最悪だった。
その間、区役所に罹災証明書の願い。農協に地震保険の申請。

仮補修した本堂

仮補修した本堂

しかし、これでは本堂は建設できない、市で本堂、庫裏を解体していただき、後は大きくプレハブを建てて過ごすしかないかと、思っていた自分が居た。
しかし、檀家から「俺らが居る内に本堂なんとか建てよう」との話が多く。
自分も借金背負ってやるしかないか、自信は無いものの考えなければ。預かっているお骨を移動させなくてはいけない、位牌もそうだ。

今住んでいる所の駐車場に3間のプレハブ1台を設置し、業者と共に引っ越し作業。
歴代住職の墓・本尊の子安地蔵尊・六地蔵など石屋さんに頼み移動させ、住職・寺族のお骨は一時プレハブ小屋に安置、可哀そうだが一時我慢して下さいと・・・・・。

移動した位牌とお骨

本尊子安地蔵尊

お盆の時期も来て、何時もなら十数名の方丈様方と供養するのだが、危険な本堂、何かあってはと1人での供養となり、供養後は、本堂、庫裏の解体の話へ。

業者からの話では、費用が多額で、修理したとしても危険度は半分になるだけで、今後の保証は持てないと、解体してもよろしいか? もしここで解体しないと、解体料が掛かる、無駄な金は使いたくない。
お盆供養に来てくれた方、全員賛成で解体の方針へ、すぐさま区役所に申請をし檀信徒様にも本堂・庫裏の解体のハガキを送った。

23年11月中旬からの解体に時期が決まる。それに合わせ仏具・壊れた仏像など業者に一時預かってもらうが、2トン車で10回ほど運んだろうか?
この間お経読みは出来ない・・・・・供養の願いの電話、断れない。
本来なら、寺に来てもらい供養するのだが、自宅まで伺い、仏壇でお経を唱え供養となる。

いよいよ解体業者が来た、どんどんと壊されていく本堂、どんどん壊されていく庫裏。 空き地になった本堂・庫裏跡、寂しいものがある。本尊も隅に追いやられ可哀そうだ。

解体が始まった本堂

解体が始まった庫裏

本堂・庫裏跡地

年も明け、1月後半いよいよ仮本堂の建設、と言ってもプレハブなので1日がかり。

4間の4個建てのプレハブ、最低限預けた仏具を戻しての本堂である。
建設委員会を立ち上げ、何度もの会合を・・・・・ 業者も交え、将来のプランも、何度も何度も重ねた。

3月11日の大回向供養祭後の、臨時檀家総会に向け協議した。
檀家の為にと自分も腹をくくり、庫裏の建設は無、本堂・会館の建築だけにし、家族は今住んでいる離れで十分、後10年は住める建物だからと。

仮本堂と後ろの白い建物が仮住まい先

仮本堂内部

3月11日、近くの葬祭場を借りての大回向際と護寺会総会と臨時檀家総会。百数十名が参加し、建設委員の紹介をし、話を切り出す。
解体終了と今後の建築の説明を簡単に説明し、予定額だとこれだけの費用が掛かる総2階建ての本堂になる、自宅は作らず本堂・会食場のみ予定では来春より着工出来る予定、ただし、寄付のお願いをしなければならない。
まだ、確定はしていないが、お盆の法要を、この場所でした後、最後の臨時檀信徒総会をします。

建築委員会での会議で、1件当たり幾らの寄付と決定する。
保険と合わせても足りない、残りは篤志寄付と言う事になる。
そんな中、業者との話で簡単な図面も完成していく。結構な広さになる本堂。
しかし!戦後28軒の檀家だったところが、今や信徒を含め400軒以上になった。
総2階で建てるのだから、人が入りきらないとダメなのだ。
これを機に、寄付用の口座も作る。

建設の話も煮詰って行く、今度は土地有効利用の為に30基の墓地を移動させることに。
これに関しては、寺の責任で移動することにした。

庭木を移し30基墓地移転する箇所

歴代住職墓地の仮安置

9月に入り中々封書の返信されない中、電話が数多くかかってきました。
「○○です、どうしても払いきれないです」と言う電話、最初っから分かっていました。
当然です、不景気の中、この大震災、全壊・半壊したところ、津波が来たところ。
住職として話しました。理由を聞いて、話をしながら、なんとか理解をしていただき。
感謝の言葉しか出ないです。ありがとうございます。

9月も後半寄付のアンケートは半分ほど集まっただろうか?
思ったより皆さんの寄付額が多い、嬉しいことです、感謝。
来月初め役員会議です。それまで幾ら寄付額が出るか、不安が残ります。

10月に入り、いよいよ30基の墓地の移転工事の始まりです。
最初は不安でしたが、30家族承諾していただきました。感謝です。
仮置きにしていた寺の墓地も、工事に伴い別な場所に。しかし今後建てる場所が出来るのか?
最低限度残して処分する事に・・・・・許して下さい、歴代住職様方・・・・・。
檀家の為です。寺側から犠牲にならないと・・・・・。

墓地の移動

墓地の移動

墓地の移動

10月7日役員会、業者の方にも来ていただきました。寄付金も檀家さんの協力である程度の入金済みです。感謝です。墓地移転が順調に進む事、アンケートで一括払いの方だけでも現在思った以上の金額を超えた事など、感謝です。
今後の展開として多少変わった事など業者様に話をしていただき、当初12月の契約だったものを、震災復興の影響で何事も時間が掛かると言う事で11月1日、業者様の会社で契約する事に!
しかし、アンケートが約150人分戻ってきません・・・・・
役員から全員のアンケートを貰わなければいけないと・・・

11月1日とうとうここまで来た、本堂の建築契約だ。10時に待ち合わせ乗用車3台で業者の元に。
業者から今度本尊にこの十一面千手観音を入れようかと、脇佛は風神雷神をと。ここで、役員達に契約してもよろしいか?全員賛成で契約が成立する。

あまりに広くてフラッシュも届かない

3メーターもある十一面千手観音菩薩

 

業者様の庭で一休み

契約いたしました

帰りの際、業者さんよりソバを御馳走したいとの事で、一同移動し昼食を。
着工が待ち遠しいが地鎮祭が・・・控室も無くトイレも無く私一人でやるようになるかもしれない・・・。

やっと30基の墓地移転が終了いたしました。思っていた以上に綺麗に出来上がりました。
墓石開眼の予約連絡も入ってきて、お経挙げです。
参列できない方も居ますが責任を持って1軒ずつの開眼です。本当に墓地移転に協力していただきまして、ありがとうございました。感謝です。しかし・・・寒い、季節がらしょうがないですね。

移動した30基の墓地

参列できない方の墓石開眼

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